みずみずしくて,ほどよい甘味と酸味をもつ二十世紀梨は,19世紀末に千葉県で発見された品種で,1898年(明治31年),来世紀には梨の品種の主流を占めるだろうということで「二十世紀梨」と命名されたそうです。



 それからわずか6年後の1904年(明治37年)に先覚者,西村正一氏によって,ここ山口県秋芳に二十世紀梨の苗木が導入され,栽培が始められました。このころ植えられた100歳を越える樹が,今もたわわに梨を実らせています。

 二十世紀梨は病気に弱く,その栽培は苦難の連続でしたが,研究・努力の結果,栽培面積も増え,1937年(昭和12年)には初めて共同選果場が建設されました。

 第二次大戦後,食糧増産政策によって,大幅減産をよぎなくされた時期もありましたが,1955年(昭和30年),それまで4つあった生産組合が合併して,「秋芳梨生産販売協同組合」が結成され,「秋芳梨」という統一ブランドで販売されるようになりました。

 1961年(昭和36年)に観光梨狩りも始まり,1967年(昭和42年)には現在地に選果場が建設されました。そして昭和50〜60年代には,栽培技術と品質の向上に積極的に取り組むとともに,生産量も大幅に増加しました。

 秋芳梨は1989年(平成1年)から東京の果物専門店,新宿高野でも販売されるようになり,その品質は高い評価をいただいております。また2001年(平成13年)には全国農業コンクールで農林水産大臣名誉賞を受賞しました。そして秋芳で二十世紀梨の栽培が始まって100年目にあたる2004年(平成16年)には,「秋芳梨100年祭」の記念式典が盛大に開催されました。


現在の選果場と選果作業
出荷された梨はベルトコンベアー
に乗せ、色や形などによって、5段
階に評価・選別されます。
100年記念のモニュメント
コンセプトは「梨から生まれた梨太郎」。台座は秋吉台をかたどった「過去のイメージ」、レリーフは100歳を越える梨の樹で「現在のイメージ」、梨太郎は「未来を支える子供」です。製作者・山本辰昭氏


樹齢100年を越える二十世紀梨